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エネルギー分野で新たな価値を創造する

地域経済における再エネの利点は、固定価格買取制度で環境・社会面での価値が既に評価されていて、必ず売れることです。価格は、長期の投資回収と収益性を評価して設定されているため、慎重に事業計画を立てて順調に発電すれば、必ずペイできます。新たな価値が評価され、販売と事業性が保証されている製品・サービスは他になく、地域経済を活性化する観点で、再エネ事業に取り組まない理由はありません。

再エネを地域経済に資するようにするためには、地域の関与が重要になります。再エネ事業の特徴は、事業所得すなわち経営者・所有者の利益の大きさにあります。雇用効果はそれほどありません。そのため、再エネ事業を地域の住民や企業、団体等で所有することが、地域に利益をもたらすために重要となります。逆に、エネルギーの地産地消であっても、事業の所有者が域外にいれば、利益の多くは域外に流出してしまいます。

再エネ事業の利益は、事業のリスクテイクの割合に比例します。リスクテイクの意欲を持ち、地域での出資割合を高めれば、利益もそれに応じて地域にもたらされます。リスクテイクする意欲がなければ、利益も域外に流出します。【図表】はその関係を整理したものです。リスクテイクする地域主導型と、しない外部主導型の間に、協働型があります。これは、基本的に外部主導であっても、一部の出資を地域から募る地域参画型と、事業収益の一部を寄付等によって地域に還元する地域配慮型に分かれます。

再エネによる地域経済への効果を高めるには、自治体が地域主導型を促進するとともに、外部主導型を協働型へ誘導することが重要になります。自治体には、条例・計画で方針を明確にし、具体的な支援策・誘導策を講じることが求められます。

これに関連して、再エネ事業を担いうる人材の育成も重要です。再エネ事業の前例は少なく、体系的なトレーニングプログラムを実施することで、再エネ分野への人材移動を促すのです。例えば、おひさま進歩エネルギー株式会社は、飯田自然エネルギー大学という再エネ事業の人材育成プログラムを実施し、これを長野県と飯田市が支援しています。

また、価値の創出には他の取組も考えられます。例えば、木製サッシは、断熱性が高いため、高断熱・高気密住宅の重要アイテムですが、見た目が美しく、住宅の外見を高級感あるものとし、美しい街並みに寄与します。ところが、日本で普及しているサッシはほぼアルミ製で、断熱性が低いばかりか、無機質で安っぽい印象を与えます(個人の感想です)。自動車の高級感にこだわる人が結構いるのですから、より高額な買い物となる住宅の高級感にこだわる人も大勢いるでしょう。

重要なことは、省エネや再エネという新たな分野で、様々な付加価値を柔軟に見出すことです。分散型エネルギーだからこそ、イノベーションの機会も分散型で存在しています。

【図表】再生可能エネルギー事業の類型(自然エネルギー財団「地域エネルギー政策に関する提言」)

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