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    民需と官需で人手の奪い合い

    August 21, 2017

    人口総数の減少と高齢化による労働力の減少が相まって、民間企業での人手不足感は年々、強まっています。図表は、全国の完全失業率と有効求人倍率の推移です。リーマンショック後に5.1%まで高まった失業率は、徐々に低下し、2016年には3.1%まで下がりました。2017年は2%台で推移しています。一方、有効求人倍率は1.36まで高まり、2002年以降、もっとも高い倍率となっています。

     

    ところが、民需での人手不足が強いにもかかわらず、官需との間で人手の奪い合いが起きています。公共事業は、2012年の自民党政権を契機に再び増加しました。国土交通省の資料により決算ベースで見ると、2011年度5.3兆円だった公共事業費は、2012年度7兆円、2013年度6.3兆円、2014年度6兆円となっています。これは、東日本大震災の復旧・復興費を含まないものです。また、自衛官は在職者数を増加させています。防衛省の資料を見ると、2012年度224,526人だった在職者数は、年々増加し、2015年には227,329人になりました。2016年は、自衛官の確保も難しくなったのか、224,422人に減少しています。

     

    国と自治体が進める地方創生でも、行政の直接・間接の取組によって、雇用の増加を目指しています。国の地方創生総合戦略は、「雇用の質」とともに「雇用の量」の「確保・拡大」を基本的な考え方とし、基本目標の第一に「地方における安定した雇用を創出する」と掲げて「2020年までの5年間の累計で地方に30万人の若い世代の安定した雇用を創出」することを目標値としています。これを受けて、地方創生総合戦略の目標に「雇用創出数」を掲げる自治体が多くあります。例えば、福岡県は「雇用創出数」を純増で「1万人」とする目標を掲げていますし、京都府も同様の目標を立てています。もちろん、両府県ともに正規雇用や魅力ある雇用の場を創出するとしていますが、取組の内容を見ると、産業振興の強化を中心としているため、どうしても「雇用の量」を追っているように感じます。

     

    これは、これまでの経済政策や地域振興の手法に捉われているからだと考えられます。従来、自治体の主たる経済政策は、企業誘致でした。産業団地を造成し、インフラを整備して、大都市の企業に働きかけて、工場の立地を誘導する取組です。今でも、誘致の補助金を設けたり、大都市に誘致担当の職員を常駐させたりしている自治体は多数あります。

     

    これまでの手法は、人口増加の時代には有効でしたが、人口減少の時代には逆効果になってしまいます。もし、人手不足の地域に新たな工場を誘致してしまったら、既存の企業と新規の工場の間で労働力の奪い合いが起きてしまいます。下手をすれば、人手不足で倒産や業務縮小を余儀なくされる企業が出てくるおそれもあります。

     

    地方創生で自治体にまず求められるのは、官需あるいは行政の誘導した需要によって、民需の人手不足を助長しないことです。どれだけ熱心に地域活性化策を講じても、それを相殺したり、マイナスにしたりする政策を放置しては、意味がありません。

     

     【図表】完全失業率と有効求人倍率の推移(総務省統計局「探してみよう統計データ」)

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