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    政府は、2020年までに新築公共施設でZEBを実現し、2030年までに新築建物の平均をZEBにすると目標を立てています。これは、2014年に策定されたエネルギー基本計画に記載されています。一見すると、意欲的な目標に思えます。けれどもEUでは、2019年に新築公共施設で義務化、2021年に新築ビル等で義務化となっていますので、それに比べれば意欲的な目標とはいえません。

     

    政府のいうZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)には、定義があります。平成28年省エネ基準と比較し、建物と設備の性能で50%以上の省エネを実現した上で、太陽光発電等の再エネで残余のエネルギー消費を賄う建物を指します。建物の省エネで想定されているのは、高断熱化、日射遮へい、自然換気・採光、設備で想定されているのは、空調、換気、照明、給湯、昇降機の高効率化です。建物と設備の性能で50%以上の省エネを実現した建物を「ZEB Ready」、建物と設備、再エネのトータルで75%以上の省エネを実現した建物を「ZEB Nearly」、トータルで100%以上の省エネを実現した建物を「ZEB」と呼びます。

     

    ちなみに、ZEBと同様に住宅においてもZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という概念があります。政府は、2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現し、2030年までに新築住宅の平均をZEHにすると目標を立てています。ZEHと異なるのは、省エネよりも再エネに力点が置かれていることで、平成28年省エネ基準と比較し、建物と設備の性能で20%以上の省エネを実現した上で、再エネで残余のエネルギー消費を賄う住宅を指します。建物と設備、再エネのトータルで75%以上の省エネを実現した住宅を「Nearly ZEH」、トータルで100%以上の省エネを実現した建物を「ZEH」と呼びます。

     

    新築公共施設をZEB/ZEB Nearlyとすれば、従来の公共施設と比べて飛躍的に高いエネルギー性能となります。政府も補助金を設けて促進しています。

     

    しかし、政府のZEB/ZEB Nearlyをそのまま公共施設に当てはめれば、高い持続性を備えたエネルギー性能の高い施設になるわけではありません。旧来の施設に比べれば、はるかに高い性能であることは間違いありませんが、EUの同種の施設に比べれば、依然として不十分なのです。とりわけ、設備更新費や維持管理費などの財政的な持続性に考慮が払われていない点が不十分です。

     

    ZEB/ZEB Nearlyにおける最大の課題は、建物の躯体性能の向上を最優先していないことです。ドイツでは木造住宅を含めたすべての新築建物に義務づけられている、断熱と気密の最低数値基準が定められてなく、使用する建材にも最低基準がありません。日射コントロールも義務となっていません。そのため、そこそこの躯体性能で、省エネ設備と再エネに頼ってもZEB/ZEB Nearlyになりえてしまうのです。これでは、設備更新費がかさみます。

     

     【図表】政府のZEB/ZEB Nearlyの定義(経済産業省「ZEBロードマップ検討委員会におけるZEBの定義・今後の施策など」)

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