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地域経済5政策を進めるカギはエネルギーにある

それでは、具体的にどのような地域経済政策を展開すればいいのでしょうか。労働生産性の向上、成長産業への働き手の移動、輸入置換、正の効用をもたらす経済活動、価値の創出という5つの政策方針があっても、手法がなければ絵に描いた餅です。行政資源に乏しい自治体とすれば、一つで複数の効果が見込める効果的な手法が欲しいところです。

カギは、エネルギーにあります。国内で使用するエネルギー源の大半が、海外から輸入する化石燃料・鉱物資源です。その点を逆手に取ることで、地域経済の発展に結びつけることができます。

日本は毎年、巨額の対価を支払って、化石燃料等を輸入しています。【図表】はその推移です。年によって輸入額は異なりますが、中長期的に輸入額が増加する傾向にあります。輸入額が変動するのは、石油の国際価格の変動に影響されるためです。石油以外の化石燃料等の価格も、基本的には石油に連動しています。この石油の国際価格が、変動しつつも中長期的に上昇しているため、日本の化石燃料等の輸入額も増加傾向となっています。

エネルギーの効率化や国産化への投資を行い、化石燃料等の輸入を削減すれば、投資分だけ国内市場を活性化できます。効率化や国産化の元手は、将来的に削減を見込む輸入代金ですので、それは国民負担でなく、投資です。

この考え方に立ち、生産におけるエネルギー効率化を進めれば、企業の純益が増加し、労働生産性が向上します。企業の一人当たり労働生産性の式は「(売上高-費用総額+給与総額+租税公課)÷従業者数」です。労働生産性は、売上高と給与総額、租税公課が増えると向上し、費用総額と従業者数が減ると低下します。生産量を下げずに使用するエネルギーを効率化すれば、費用総額が減るため、労働生産性が向上するわけです。

生産量を下げずにエネルギー効率化を進めることは、実現性の高い手法です。LEDやICT等の技術革新により、生産設備のエネルギー効率は年々高まっています。設備投資をしないとしても、マネジメントの改善でエネルギー効率を高める手法も確立されています。加えて、毎年変動する売上の利益と異なり、エネルギー効率化による純益は、毎年確実に期待できるものです。

一方、一部の大企業を除けば、エネルギー効率化の取組は遅れています。環境省資料によると、日本のエネルギー生産性は、イギリス、フランス、ドイツより劣っています。経年では、2010年頃までは横ばい傾向で、2011年の東日本大震災頃から改善し始めました。

よって、自治体が地域企業のエネルギー効率化を促進することで、労働生産性を改善することができます。それも、環境政策でなく、経済政策に位置付けることが重要です。

【図表】日本の化石エネルギー輸入額の推移(環境省資料

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