August 18, 2018

改めて、公共施設のエネルギー性能を向上させることについて、光熱費を削減する5つの効果を整理しましょう。

効果1:公共施設を利用する人々の知的生産性・学習効率の向上

効果2:公共施設の長寿命化

効果3:設備更新費用の抑制

効果4:地域の建築事業者の技術力向上

効果5:地域住民への高断熱・高気密建物のショーケース

これらに加えて「効果6:光熱費の削減」が期待できるのです。

したがって、公共施設のエネルギー性能の向上を考える行政職員は、これら6つの効果を分かりやすく整理し、首長や幹部、関係部局に理解してもらう必要があります。これまで自治体でエネルギー政...

April 17, 2018

公共施設は、地域熱供給の核にもなります。熱供給とは、個々の建物や部屋で冷暖房や給湯の熱源設備(空調や給湯器など)を取り付けて需要を賄うのでなく、センターに熱源設備(ボイラーなど)から冷暖房や給湯の「熱」を配るシステムです。それを敷地の異なる複数の建物間に配ると、地域熱供給となります。日本では地域冷暖房とも呼ばれ、東京・丸の内など大都市の高層ビルが林立する地区の一部で行われているだけですが、ドイツやデンマーク、スウェーデンなどでは多くの都市で一般的に備わっているシステムです。

地域熱供給の魅力は、建物それぞれにボイラーを備えるよりも、エ...

April 14, 2018

設計プロセスを指定することに加え、エネルギー関係の設計・設備の検討に際しての優先順位を基本設計の仕様書に指定しておけば、より効果的です。これは「予算度外視で究極の高いエネルギー性能の建物をいったん設計」する段階での優先順位です。予算額に達するまで引き算するときの根拠は、費用対効果です。これらを混同しないよう、注意してください。

優先順位は「断熱>気密>日射コントロール>換気>通風>設備>再エネ熱>再エネ電気」となります。自然光による「採光」は「日射コントロール」に含みます。空調や給湯機、貯湯槽(蓄熱タンク)は「設備」に含みます。熱と電...

April 11, 2018

ZEB/ZEB Nearly概念を超えて、真に持続的なエネルギー性能の高い公共施設を設計するためには、設計プロセスを基本設計の仕様書で指定することが必要になります。「この手順で設計し、その手順を踏んだことを客観的に示せるようにしてください」と、自治体が仕様書で指定すれば、設計者はそのとおりに設計します。仕様書は、担当の技術職員だけで決めるものでなく、必ず庁内会議や決裁を経ます。そのときに、設計プロセスを入れ込むのです。

指定するプロセスは「予算度外視で究極の高いエネルギー性能の建物をいったん設計した後、予算額に達するまで、費用対効果の...

April 5, 2018

政府は、2020年までに新築公共施設でZEBを実現し、2030年までに新築建物の平均をZEBにすると目標を立てています。これは、2014年に策定されたエネルギー基本計画に記載されています。一見すると、意欲的な目標に思えます。けれどもEUでは、2019年に新築公共施設で義務化、2021年に新築ビル等で義務化となっていますので、それに比べれば意欲的な目標とはいえません。

政府のいうZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)には、定義があります。平成28年省エネ基準と比較し、建物と設備の性能で50%以上の省エネを実現した上で、太陽光発電等の再...

April 2, 2018

前回までの講座で、公共施設を持続可能にするために考慮すべき事項が、6点あることを解説しました。第一は目的、第二は立地、第三は稼働、第四は寿命、第五は費用、第六はパリ協定です。持続可能といっても、環境面だけに配慮すればいいわけでなく、環境以外の視点も持続性を決定づけるのです。それらをすべてクリアして、初めて環境、すなわちエネルギーでの持続可能性を追求する土俵に立つことになります。

今回からの講座では、それらのクリアを前提にして、エネルギーの観点で持続可能な公共施設をつくるための解説をします。これまでと同様に、技術面の知見に乏しい文系の事...

March 30, 2018

第六の事項は、パリ協定です。パリ協定とは2020年以降の地球温暖化対策に関わる国際ルールで、2016年11月に発効しました。「世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑える」ために「今世紀後半の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」ことを目指し、各国に対策を義務付けています。これは、遅かれ早かれ化石燃料を使用できなくなることを意味します。

パリ協定に対し、公共部門から率先して取り組む責務があることは言うまでもありません。実際、国の地球温暖化対策法では、すべての自治体に対し、その事務事業に関する温室効果ガス排出抑制の計画策定を義務付けて...